ITフリーランスの「手残り」を最大化する確定申告ガイド

ITフリーランス 確定申告

ITエンジニアやWebデザイナー、コンサルタントとして活躍するフリーランスにとって、確定申告は単なる義務ではなく、「事業の利益を最大化するための手段」そのものです。

特に2026年は、インボイス制度導入時の緩和措置が終了に近づくなど、税金面での大きな転換期を迎えています。本記事では、ITフリーランスが迷いやすい経費判断の基準について、税理士・公認会計士の視点で解説します。

目次

1. ITフリーランスの経費判断「黄金律」と迷いやすい支出リスト

ITフリーランスの支出は、生活と仕事の境界が曖昧になりがちです。税務調査において、否認されないための唯一の基準は「その支出が売上(事業)にどう貢献しているか」を論理的に説明できるかどうかです。

IT実務で漏らしてはいけない経費15選

多くのITフリーランスが見落としがち、あるいは判断に迷う項目を整理しました。

カテゴリ項目実務上のポイント
作業・環境カフェ代・コワーキング「場所代」として計上。
ワーキングチェア・デスク30万円未満なら「少額減価償却資産」として一括経費。
事務用品・周辺機器LANケーブル、変換アダプタ、Webカメラなど。
通信・技術ドメイン・サーバー代ITインフラとして全額計上可能。
有料フォント・素材代制作に不可欠なもの。
通信費(スマホ・テザリング)プライベート利用との按分が必須。
SaaS・サブスク代GitHub, ChatGPT, Cursorなどの開発支援ツール。
スキル・人脈セミナー・勉強会費技術向上のための参加費は「研究開発費」。
専門書・技術書現場で必要なリファレンス本。
接待交際費クライアントへの贈答品や会食費用。
運営・事務銀行振込手数料報酬受取時や外注費支払い時のコスト。
カード年会費事業専用カードなら全額。共用なら按分。
交通費ICカード利用分は事業利用の内訳をわかるように管理。
外注費他のフリーランスへ業務委託した費用。
借入金利息銀行等からの事業用融資の「利息」分。

自宅をオフィスにする「家事按分」の基準8選

自宅を仕事場にしている場合、以下の項目は「仕事で使っている割合」に応じて経費に算入できます。ただし、ケースにより利用できる場合やできない場合がありますので、詳しくは税理士にご相談ください。

下記の按分基準は例ですが、各項目ごとに合理的な基準を用いて按分します。

  1. 家賃: 床面積比等合理的な基準で算出(仕事部屋の面積 ÷ 全体の面積 など)
  2. 電気代: コンセント数や作業時間比、床面積比の合理的な基準で算出
  3. インターネット代: 業務での利用実態に応じて50〜80%程度
  4. 携帯料金: 通話明細やアプリ使用頻度から算出
  5. 固定資産税: 持ち家の場合、建物部分のみ面積比で按分
  6. 火災保険料: 家賃と同じ比率で按分
  7. 管理費・共益費: マンションの維持費。家賃と同じ比率
  8. 住宅ローン利息: 元本は不可。利息分のみ面積比で按分

逆に「経費化が難しい」NGリスト

以下の項目は「自己投資」や「身だしなみ」と思われがちですが、原則として経費には認められません。

  • 水道光熱費の「ガス・水道」: IT業務との関連性が低いため難しい。
  • 健康管理費: スポーツジム代、人間ドック、健康診断(個人事業主本人の分)。
  • 衣類・美容代: スーツ、散髪代、エステ代(プライベートでも着用・利用可能なため)。
  • 家族との会食や1人ランチ: 「福利厚生」は個人事業主本人には適用されません。

2. 税務署も納得する「3段階」の節税ロードマップ

単に経費を増やすだけでなく、国の制度をフル活用して「所得控除」を最大化することが、ITフリーランスの正しい節税です。

ステップ1:青色申告特別控除(最大65万円)

e-Taxによる電子申告と複式簿記を組み合わせることで、65万円の控除を受けられます。ITスキルが高い皆様であれば、クラウド会計ソフトとe-Taxの連携は難しくないはずです。

ステップ2:30万円未満の資産を一括経費化

ITエンジニアは高額なPCを頻繁に買い換えます。通常、10万円以上の資産は数年かけて減価償却しますが、青色申告者であれば「少額減価償却資産の特例」により、30万円未満の機材をその年の経費として一括計上できます。売上の高い年に高性能MacBookやモニターを揃えるのは、賢い選択です。

ステップ3:積立制度による「節税×貯蓄」

以下の3つは、支払った全額が「所得控除」となり、将来の自分への備えになります。

  • 小規模企業共済: 年間最大84万円が控除。退職金代わりになります。
  • iDeCo(個人型確定拠出年金): 拠出金が全額控除。老後資金の形成。
  • 経営セーフティ共済: 月額最大20万円。本来は倒産防止用ですが、解約手当金を受け取れるため、利益が出すぎた年の調整として有効です。

まとめ:攻めの会計で事業を加速させる

ITフリーランスにとって、会計は過去を振り返る作業ではなく、未来のキャッシュフローを最大化するための手段です。

  1. 経費: 正しい按分と、事業との関連性の証拠(メモや記録)を残す。
  2. 節税: 所得控除(共済やiDeCo)を活用し、納税額をコントロールする。
  3. 改正対応: インボイスの特例終了を見越し、2027年以降の収支予測を立てる。

正確な数字を把握することで、単価交渉の判断基準も明確になり、法人化のタイミングなども論理的に決定できるようになります。

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