決算月のおすすめは?節税・キャッシュフロー・事務負担から選ぶ理想の決算月

決算月の決め方

会社を設立する際、決算月を「なんとなく」で決めていませんか?実は、決算月の設定ひとつで、その後の事務負担やキャッシュフロー、さらには経営のゆとりが大きく変わります。

特に、設立後早いタイミングで決算を迎える設定は、実務上の手間やコストが高く、専門家の視点からはおすすめできません。本記事では、後悔しないための「戦略的な決算月の決め方」を、具体的かつ論理的に解説します。


目次

1. 結論:決算月は「設立月の前月」にするのがベスト

これから会社を設立する方、あるいは設立直後の方にとって、最も合理的で間違いのない選択は、決算月を「設立月の前月」に設定することです。

なぜ「設立月の前月」なのか?

最大の理由は、第1期目を最長の12ヶ月間に設定できるからです。例えば、4月に設立した場合、決算月を3月に設定することで、最初の年度をフルに活用できます。

新設法人は、ビジネスモデルの構築や資金繰りの安定に時間がかかるものです。1期目を長く確保することで、最初の決算申告までに十分な準備期間を設けることができます。


2. 絶対NG!「設立月」を決算月にしてはいけない理由

実務において最も恐ろしいのが、「決算は設立から1年後に行うもの」という経営者の思い込みです。 例えば、4月15日に会社を設立し、決算月を4月に設定したとします。経営者が「最初の決算は来年の4月だろう」と勘違いしていると、実は「設立からわずか15日後の4月末」が最初の決算日となってしまいます。

法人税の申告期限は原則として決算日の2ヶ月後ですから、この場合、6月末までに申告と納税を済ませなければなりません。この勘違いに気づかず、無申告となってしまうリスクを避けるためにも、1期目が極端に短くなる設定は避けるべきです。

3. 状況別・理想の決算月を選ぶ4つのチェックポイント

自身のビジネスモデルに合わせて最適な月を選ぶための、4つの実務的な視点を紹介します。

① 繁忙期を避け、閑散期に設定する

現場が最も忙しい時期に決算作業を行うのは、ミスやストレスの元です。

  • 小売業:年末年始の繁忙期を避け、2月や8月に設定する。
  • 建設業:年度末の工期末(3月)を避ける。 事務作業に時間を割ける「落ち着いた時期」を決算に選びましょう。

② キャッシュフローに余裕がある時期にする

法人税等の納税は決算の2ヶ月後です。

  • 売上の入金サイクルを確認し、手元に最も現金がある時期の2ヶ月前を決算にする。
  • 賞与の支払いや大きな仕入れが重なる時期の納税は避ける。 「黒字なのに納税資金が足りない」という事態を防ぐことが重要です。

③ 在庫(棚卸し)が最も少なくなる時期にする

在庫を抱える商売の場合、決算日の実地棚卸しは避けられません。

  • 在庫が最も少なくなる時期を決算にすれば、棚卸しの手間が大幅に減ります。
  • 管理コストを抑え、決算数値の精度を高めることにつながります。

④ 税理士の「二大繁忙期」を避ける

税理士事務所には、年間で極端に忙しい時期が2つあります。

  • 12月〜3月:所得税の確定申告(個人の確定申告)
  • 5月:3月決算法人の申告 特に2月から3月にかけては、個人の確定申告と3月決算の準備が重なり、税理士とのコミュニケーションが取りづらくなる場合があります。この時期を避けて決算月を設定することで、自社の経営についてより丁寧なアドバイスを受けやすくなります。

4. 決算月はあとから「変更」できる?

もし既に「設立月を決算月にしてしまった」という場合でも、救済策はあります。

手続きは意外と簡単(登記不要)

決算月の変更は、法務局での登記手続きが必要ありません。以下の手順で進めることができます。

  1. 株主総会を開催し、定款の「事業年度」に関する規定を変更する決議を行う。
  2. 「異動届出書」を作成し、税務署、都道府県税事務所、市区町村役場へ提出する。

登記費用(登録免許税)もかからないため、比較的スムーズに変更が可能です。


まとめ:決算月は戦略的に決めよう

決算月は、単なるカレンダー上の区切りではありません。「事務のゆとり」「資金の余裕」「専門家のアドバイス」を最大化するための戦略的な経営判断です。

これから設立される方は、まずは「設立月の前月」を基本に考え、そこから自社の繁忙期や税理士の状況を照らし合わせて、最適な一月を選び出してください。

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